<その3> 運動のフィナーレについて 2004.5.17〜
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瀬島龍三氏への書簡 (案) 2004・5.17.
このような手段での直訴をお許し下さい。 私と故F曹長とは中央アジアにおいて苦難を共にし、傍ら劇団仲間でもありました元二等兵でありますが、ともに黒パンを分け合った者として貴方にお願い致したく、じっ魂の会員であられる未亡人を煩わした次第で、“やっぱり最後の仕上げは瀬島さんのお陰であつた” と万人が手を取り合って喜べるよう、「シベリア間題」解決に格段のお力を頂きたいのであります。 私は貴方のこの度のご提案を大きな喜びをもって拝見した一人です。
4月7日瀬島龍三氏提案骨子 @ スロ一ガンを明確にすること。 A どのように運動を展開するのか、実現のためのアプローチを明確にすること。 B 裁判では埒があかず、国の支出を求める以上国会議員を動かすこと。
要求内容としては以下の5項目を提案 1、ロシア政府は陳謝せよ 2、ロシア政府は4島を返還せよ 3、ソ連が強制抑留した労働に対する報酬を支払え 4、ロシア政府は残された遺骨収集に最大限の協力をせよ 5, 6万人の犠牲者の慰霊塔の管理に最大限の協力をせよ
ロシア政府に陳謝させ、平和条約の文書に「6万人の犠牲」を明記させる。ロシア側の陳謝で4島返還も動き出す。抑留間題を外交戦略の中に位置付ける必要がある。抑留者は、早急に全抑協、相択派全抑協、朔北会など合同で「シベリア抑留間題委員会」(仮称) を立ち上げ、一本に纏まる必要がある。
この抑留者の念願を網羅した提案は老兵たちの最後の希望であり、ぜひ実現して頂きたい、折しも貴方が会長であられる朔北会の解散集会が舞鶴で開催と承り、現地でお時間を頂ければと、以下拙見を添えお願い申し上げます。 1、現状 戦後59年、見捨てられた「シベリア抑留」にもようやく天機が訪れ、老兵の団結と卓越した指導力が得られるならば、多年念願の関東顕彰の可能性が見えてきたように思われます。
1) 日ロ平和条約締結への急転 双方の必然から昨秋より事前協議が進められ、更にプーチン再選により拍車が懸った今日、領土問題のためには「シベリア抑留」は避けて通れない課題であります。
2) 「シベリア補償法案」の上程 今国会に上程される民主党議員立法は1000億規模、必ずしも満足すべき内容のものではありませんが、運動の成果として採択、成立が望まれています。事ここに到れば補償をするか 否かの不毛の理屈は既に意味を失い、シベリアをどう解決すべきかの審議でなければならないのであります。
3) 「平和祈念事業」の廃止案 補償はせず慰籍事業を、との独立行政法人の事業は、その役目を終えたとして4年後の廃止が伝えられ、自民党を中心に400億の基金処分と併せ論議を呼んでいます。
2、提言 「シベリア抑留」の犠牲を踏み台に、四島揃っての返還を・…
3、運動の展開 1) 平和条約の攻め口 「シベリア抑留」は日ロ友好の喉もとのトゲであり、恒久平和のガンでありますが、これがロシアの最も痛い泣き所となっています。国は徹底してこの非道を突き、ロシアの陳謝を求め、この甚大な犠牲に比べれば千島全島はともかく、四島耳を揃えて即時返還は当然と、正々堂々の交渉をしてもらいたい。生き残りの老兵も祖国のためとあれば渾身の協力を借しまないところ、但しそのためには今回の補償法案を超党派で採択し、払うべきは綺麗に払った上での交渉が必要であります。 “なるほどその通りではありますが、気の毒なのは賃金をビター文手にしていない兵士たちであって、貴国は一銭もソンをされていないではありませんか'' と相手に冷笑されないためにも・…。
2) 国会対策 そのための、また多年懸案の解消のためにも1000億は決して高い費えではありません。そもそもこれら未払い賃金や補償は国のお情けではなく、捕虜の所属国に支払いの責任があることは国際法の定める所であり、前大戦の各国捕虜の中で抑留中の労働賃金を受け取っていないのは「シベリア捕虜」だけ、同じ目本兵捕虜でも南方組に対しては政府が支払っているのであります。いくら国が弁明しようと これらは否定できない事実であります。本法案の成立は与野党を問わず、これは日本の、日本人として自らが解決すべき問題でありますが、この合意を纏めるには更に高度の大きな政治力が必要となりましょう。
3) 今こそ運動の原点へ・…大同団結の訴え 1978年夏、燃え盛るマグマのように噴出した運動も国の老獪な術中にはまり、豆を煮るに豆ガラをもって焚かれた残念な結果に終わりました。この苦い体験を踏まえ、もう一度出発点まで引き返して出直そうではありませんか。お互い言い分はあれ、言ったところで得るものはなし、この際は小異を捨て、大同に就こう。総力を結集した「シベリア抑留問題委員会」の設置が強く望まれる所以であります。
4、打開さるべき間題点
1) 大同団結について 昨年春より前述の呼びかけを始め、8月には鈴木善三現理事長を土岐市に訪間し、懇請したのですが同意を得られず、引き続きの接触も未だ実りがありません。率直に申し上げれば「財団」の方々は毒饅頭の毒が回って腰が抜けておられるのか、同等の立場での話し合いは困難で、この際参加を得るためには一段高所からの奨請が最も早道のようであります。
2) 政府、自民党対策について 我々は非力を厭わず人道派といわれる野中広務、古賀 誠の両氏を中心に、広く理解を求め続けていますがなかなかに壁は厚く、また対ロシアに熱心な森 喜朗元首相(日ロ友好議員連盟会長)にも接触中ですがいまだ其の機に到らず、このように中枢の合意を得るには全くの力量不足で、高度の政治力の無さを痛感しております。 これら政治家は未だしも反対の本丸は中央官僚で、その根拠は A, 脈々たるアカ嫌い。洗脳された輩にカネを呉れてやる必要はない B, “これによりソ連が大きな利益を得たのは事実でありましても、法的に我が国として、これを賠償の一つの形態として認めることはないわけであります” の政府見解の通り、もし労賃支払の形式をとったならば忽ち役務賠償が成立し、これがサンフランシスコ条約第26条の最恵条項に違反し、大きく国益を損なうであろう危倶 C, カネが惜しい 以上の3点であろうと思われます。
3) 卓越した指導力について 老兵悉く老い、これら高度の大きな政治力を持つ器量人は一人としておりません。 貴方のご出馬を願うや切。幸い全般を統率下さるならば、それぞれは犬馬の労を惜しまないところでありましょう。 我々関東軍将兵は承詔必謹を奉じて国体護持の大任を果たし、また国と国民の身代りとなって役務賠償の惨苦を舐め、祖国再建の礎となったのであります。この建軍以来かってない功績が何ら顕彰されることなく、老兵の死とともに忘れ去られようとするのは如何にも無念であります。どうか参謀殿の指揮の下、悔いのない余生をまっとう致したく、不躾を顧みずお願いに及んだ次第であります。
私は「シベリア立法推進連絡会議」の世話人の一人として関西地区を担当し、代表である寺内良雄、及び東京世話人の平塚光雄ともども運動を続けておる者であります。お尋ねなりご用は何時でも、何なりとお申し付けの程、よろしくお願い申し上げます。 ご健勝を祈りつつ *この面談は幸い東京側の方で設営が出来ることになり、舞鶴では取りやめた。
日本の過去の清算を求める国際連帯協議会 ソウル大会 に参加して この大会は5月20日から23日の4日間、南、北、中、日、台、比、米から300の人々を集めて、主に従軍慰安婦、強制抑留、大虐殺、歴史と教科書問題を中心に体験を語り討議を重ね、その解決を戦後60年である2005年に求めるため、更なる団結と推進を誓って閉会した。
私は「シベリア抑留」被害者の立場からアピールし、同じ苦難をともにした韓国の諸君たちとの交流が目的で参加したのだが、幸い短い時間に拘わらず貴重な体験と学習が出来たので、そのあらましを以下に報告したい。
一つは北朝鮮組10名の中から黄 宗沫氏に会えたことである。この人は軍国日本によって占守、幌莚島へ強制連行され、軍の飛行場建設にこき使われたうえソ連に抑留という悲惨な体験を持つ人で、今は平壌に住むという。“もうすっかり忘れた” という日本語はたどたどしく、温顔の紳士は温和に昔を語りだすが、この人は労務者であっても兵士ではない。私がシベリアへ抑留された元兵士たちのその後の消息を尋ねた時、微笑は一瞬に消えて短い沈黙の後、ぼそりと “知らない” という。日本軍に加担した不運な兵士に良い結果は与えられなかったのであろうか、深くは聞けないものを感じて話は終わったが、固く手を握り締めてお互いの健康を祈る以外に術がないのが残念な別れとなった。
次にソウルを離れる日、汝矣島の国会議員会館にウリ党の有力議員である金 希宣女史を訪れ、韓国の元日本兵シベリア抑留者に対する国としての救済を要望できたことは得がたい経験であった。この段取りを進めたのは昨年6月来阪された朔風会会長の李 炳柱氏で、この人はともに黒パンを分けあってシベリアで苦労した戦友だが、原爆訴訟原告の郭 貴勲氏を含め日韓同行5人の共同要請となった。新しい議員会館の部屋はビジネスホテル然たる永田町より数等立派で、5階からの展望も美しく「千年の希望」と書かれた金 大中の揮毫を背に、金女史はにこやかに対応、話は躍進のウリ党人道政策への期待にはじまり、ソウル大会の成果を踏まえての積極的対応の要望となったが、私は「シベリア抑留」の問題を強く訴えた。金女史の “ご老人存命中の実現に尽力を惜しまない” との言葉を土産に、30分の面談を終えたのであった。
李 炳柱会長の快男児ぶりは何処へ出しても見事なもので、また万端の行き届いた心遣いは感謝の他なく、特に現地在住の老兵6人を集めて懇談したプルコギ会食の夕べは忘れ難い思い出となった。 < 「未来への架け橋」誌への寄稿 >
朝日新聞 論説主幹 若宮啓文氏への書簡 2004.5.31.
「シベリア抑留」はこれで良いのか
5月30日の朝日新聞論説主幹は「日ソの記憶」と題し、今回の北朝鮮拉致家族の奪還と関連して「シベリア抑留」の悲劇と先人宰相の命がけの努力を論じている。
敗戦後、ソ連によって引き起こされた強制連行という史上稀に見る大量拉致は既に59年の歳月を経て、当事者の殆どは世を去り我々生存者も老い、すべては未解決のまま歴史の中に繰り入れられようとしている。この陽の当たらぬ事件を世に知らそうとする論説を喜ぶとともに、余命幾ばくもない体験者として以下を申し述べ、広く社会の良識に訴えたい。 「シベリア抑留」は「異国の丘」や「岸壁の母」などの影響で、暗い、情けない の愉快でもないエレジーと受け取られているが、我々は悲劇の根っこに潜む本質を先ず知って頂きたい。この事件が敗戦時の至上命令であった「国体護持」のため、スターリンの宥恕を乞う必要からの人身御供であり、またこの強制労働がシベリア出兵以来のソ連に対する役務賠償であり、その規模は5兆円を下らないこと、拉致総数60万、うち死者6万、我が民族はじまって以来の惨憺たる屈辱的事件であったことを である。 抑留された兵士たちは平和が戻った懐かしの母国から長い間引き離され、黙々と苦難に甘んじて九死に一生を得、辛くも家族の下へ帰還したのだが、夢にまで見た祖国はこの犠牲に何を酬いてくれたであろうか。
北朝鮮拉致家族や中国残留孤児を温かく迎え、出来る限りの処遇を以って酬いるのは同胞として当然であり、国家の何をおいても優先すべき義務である。我々も今回の朝野を挙げての対応を喜ぶ者であるが、それに引き換え「シベリア抑留」に対する国の非情冷淡は理解に苦しむものである。まさに天国と地獄の差、これが同じ国の出来事かと、実に ひどい の一語に尽きる。帰還してから現在まで、国と国民の身代りとなって苦難に耐えた功績の顕彰もなく、何の扶助援護にも恵まれず、それどころかある者はその筋の監視下に置かれ、殆どが “シベリア帰りはアカだ” と就職にも事欠いて冷遇された。その上国際法に保障された抑留中の労働賃金も支払われず、食費すらも踏み倒すという阿漕ぶりであった。第2次大戦中に不運にも捕虜となり抑留の憂き目を見た各国の兵士は、帰還後それぞれの母国から手厚い補償を受け、我が国においても南方、中国から帰還した兵士にはそれらを支払い、シベリアにのみ支払わないという不条理を国は何の臆面もなく犯しているのである。
我々は北朝鮮の家族が受け取る扶助や慰藉など国の恩恵が欲しいと言っているのではなく、“労働には賃金が与えられる” という至極当然の未払い賃金を要求しているのである。シベリアの飢えと寒さと強制労働の下で得た血と汗と涙の結晶をさえ支払わないとは、忠勇なる兵士をして奴隷に貶める扱いではないか。
大正生まれの男は明治が引き起こした戦争に身を挺して闘い、その後始末に黙々と汗を流し、やがて世界が賞賛を惜しまない平和日本を昭和に引き渡した。その点お気の毒ではあれ北朝鮮拉致家族は国への貢献はない。それであるのに何ゆえ以ってこの差別と冷遇か。我々はシベリアの惨苦よりもこれら祖国の薄情な仕打ちの方が腹立たしく辛いのである。 世に愛国心を声高にいう御仁が多いが、国を愛する心の前に先ずは愛するに足る国であるべきで、或る時にはこき使い、都合悪し と見れば弊履の如く捨てて顧みない国を誰が愛するというのか。
来るべき日ロ平和条約締結は領土問題だけではない。平成の宰相は「シベリア抑留」の尊い犠牲を踏み台にして、四島耳を揃えての返還に命がけの姿勢を示すべきである。但しその前に国は払うべきものを綺麗に払ってからにして貰いたい。
“なるほど「シベリア抑留」は大きな犠牲でありました。しかし、気の毒なのは賃金をびた一文手にしていない兵士の諸君であって、貴国は一銭も損をしておられない” と交渉相手に冷笑されないためにも・・・・
後世史家の評価に耐える法案を・・・・ 2004.6.21.
「シベリア補償法案」の上程は民主党並びに我々と支持者の熱意と弛まぬ努力の結晶であり、戦後59年にしてようやく国家の問題として審議されることは喜びに堪えない所であり、献身努力を賜った方々に心からの感謝を捧げるものであります。法案は国会閉幕に伴い再度の上程となりましょうが、この小閑を生かし、更に充実した悔いの残らない内容を期したく、以下提言いたしますのでご検討賜りますよう、切にお願い申し上げます。
1、計算基礎がおかしい・・・・ 対象の生存者数は法案起草の基礎ですが、本案では約28万人強であり、これが自民党では約15万人と、両者に相当の開きがあります。その違いの原因は @ 生存率 と A 請求率でありますが、衆議院法制局はどのように参画し指導したのでしょうか? これだけ基礎のデータが違う法案作りは著しく公正を欠くものと言わざるを得ません。
@ 生存率について・・・・ それぞれの生存率は民主党60%、自民党45.3%で試算されています。 因みに18年前(1986年)の自民党議員立法での生存率は68%。総務省推定の2008年生存率は22.6%。朔北会現在の生存率は27.3%であり、また国勢調査の統計から見ても民主党の60%は異常に高く、これは一度調べ直す必要があると思います。
A 請求率について・・・・ 受領資格者は自己申請制ですが、100人が100人届け出ることは先ずありません。そのロスを見て請求率を設けるのが通常で、自民党は生存者で70%、遺族で50%を見込んでいます。民主党はその措置が全くなく、100%です。二つの率を掛け合わせると民主は60%、自民は31.7%となり、ほぼ13万人の大差が生じ、これでは正常な審議にはならないでしょう。
B 民主法案を自民率で計算すると・・・・ “本案に要する経費は、約1000億円の見込みである” とされていますが、これを自民党の率で試算すると522億円弱であり、約半分が余ってしまいます。
支給額ごとの経費の試算 (生存率45.3%×請求率70%)
C 遺族に配慮を・・・・ 以上の通り、折角の1000億が実際には半分強の経費となり、これでは勿体無いと思います。是非これを遺族支給にご配慮願いたい。
遺族数 32.3家族×請求率50%×25万円=404億円 *遺族には帰還年の申告が出来ない場合が想定されますので、一律制が良いのではと思われ、25万で試算しました。 これで生存者522億、遺族404億、計926億円と充分に予算以内に収まります。
D 自民案との比較 いずれ与党と野党の二法案が国会壇上で審議されることになるでしょうが、立法理念の高さにおいて、その内容の温かさにおいて どちらが評価されるでしょうか。抑留者はいずれを欲するでありましょうか? ここは法案に歴然たる差をつける必要があろうかと考える次第であります。超党派の採決を得るため、どうか竿頭更に一歩を進める改善を希うものであります。 運動の収束について 2004.6.23.
もう一度裁判を・・・・との九州構想ですが、私は「シベリア抑留」問題の収束パターンとして有力な手段であろうと思います。その時期はおそらく本年末から2005年8月23日の「シベリア抑留記念日」前後でしょうし、その頃には補償問題も一応は落ち着く所へ落ち着いて、多くの消化不良を残したまま ほろ苦い乾杯で解散を告げ、急速に迫る加齢現象とともに運動は一つの区切りの時期に差し掛かるでしょう。 肝心の法案はどうなったか、残念ながら民主党法案は衆寡適せず不採択、代わって自民法案が成立して生存者に一律20万円。恩欠の10万はどうなるか、与党はそんなにお人よしではありません、更に値切られて押し切られることでしょうね。
運動もここまでくれば、厚い雲の間から先々が見通せるようになりました。勿論民主党法案の成立には全力を尽くしますし、また何かの天変地異が状況を一変させるかもしれません。大野伴睦ではありませんが “政治は魔物、一寸先は闇” ですから。
1、運動の大義名分が立つか、否か 私は金銭の多寡はともかく、運動の意義を国がどう認知するかに拘って居ます。ここまで来れば次が得られれば矛を収めても良いと考えます。 @ 総理大臣が謝意を示し、「シベリア抑留」の歴史的功績に感謝すること。 A 交付金の性格が強制労働の未払い賃金を意味するものであること。B 遺族、外国籍兵士への配慮。
2、与野党法案の重要な相違について 民主党法案はその趣旨にも提案理由にも強制労働による対価の未払いという特別の事情に鑑み とあり、立派に大義名分が立っています。自民党の方は解散する財団基金取り崩しによる分け前で、そこには何の意義も名分も感じられません。 前者の成立は金額の多寡は問わず、曲がりなりにも解決であり、これにより多年紛争の根が切れたと申すべきで、私が非力を顧みず働いているのも そうでありたいがためであります。更には附則第3条に言う(検討)事項達成にも繋げますが、成立を見なければ万事は窮するのであります。
3、自民党案では解決にならない 与野党の現有勢力から成立の確率が高いのですが、これでは何の解決にもならない全くの無駄であります。何故なら問題の根が切れていないからで、未払いの賃金は依然未払いのままで、訴えを防ぐ決定的武器にならないからであります。しかし“一文惜しみのゼニ失い” を絵に描いたような愚行であっても、こちらが泣き寝入りをすれば丸儲けです。
4、収束時の風景 国会にまで出された慰労金が 不運にも数にものを言わせた与党案に決まったとき、我々の心境は実に複雑でありましょう。最低限とはいえ 酷薄非情の国から実利を引き出したのは大成功ではないか とはいえ、その祝杯は苦く決して快哉が叫べる気分でないのは大義名分が立っていないからであります。そのときの戦場風景はどうでしょうか。戦い済んで日は暮れて、我々は多くの友を失い、体力知力金力のすべてを蕩尽し、戦う相手をさえ見失って呆然と立ち尽くしているでしょう。
5、そこで見える道 これが民主党法案の成立であればどうでしょうか。我々は手に手をとって欣喜雀躍し多年の苦労を忘れて叫ぶでしょう、“これで男の意地が立ったというものだ” と。同じ慰労金でも受け取る気持ちは天と地の相違ですが、この喜びを味わう道は唯一つ、収束に間髪を入れず九州が準備中の最後の裁判を決行することです。
6、その方法 ブロック訴訟は費用がかからず手間いらず、運動ではないので体力、時間も殆ど要りません。九州をセンターとした各地方ブロックによる乱訴形式ですが、福岡での提訴をモデルにして可能なら大阪、関東、東北、北海道の4ブロックが全く同じ訴えで追従します。 @ センター弁護団費用を参加ブロックで割り勘。原告負担1万円。支持会員2千円。 A 原告は2名〜3名でも、弁護士なしの当事者でも充分。 B 法廷での書面合戦だから運動(ロビー活動など)と違って体力、知力、時間は不要。要るのは気力のみ。7、何を争うか、その訴点 過去の経験を踏まえ、急所必殺主義。それには焦点の絞込みを、間口が広く紛れ易い国内法を捨て、国際法違反を・・・・ @ ヘーグ陸戦法規第6条の “捕虜の労銀は支払われるべし” の確認。 A 国際法による支払責任はソ連か日本か、の確認。 B 本事案が国際的実定法であることの確認。 C 「日ソ共同宣言」第6項での相互放棄は両国の不当な談合である。これにより支払責任の消滅をいうは中世の徳政令であり、1949ジュネーブ条約第6条への明らかな違反である。 D 「シベリア抑留」は国際法の被害者であり、国際法により救済されるべき、これらの違反はこれを誠実に遵守する とした憲法第98条に著しく背くものである。 早ければ今秋にも迎える であろう収束に、悔いのない対応のための検討をお進め下さいますよう、切望いたします。 |
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