<その4> 入院中も運動は休まない 2003.5.8〜
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1978/夏 の原点に帰ろう 2003.5.8. ― シベリア立法推進会議の創立の日の呼びかけ ー
「シベリア抑留」にアトはない。良くも悪くも一、二年、ここでもう一度原点に立って初心に帰ろうではないか。今まで裁判へ、国会へ、与党へと、運動は分裂、反目を繰り返して果ては無気力無関心のうちに悲願は終わろうとしている。 関東軍は国にていよくあしらわれ、泣き寝入りした愚かな軍団かと、謗られてよいのであろうか、嫌だ。私は最後まで理不尽な国に抗議し白黒を正して生を終えたい。
そのための提言 結果が出ないなら、虚心坦懐 もう一度原点に戻ればよい。原点とは25年前、1978年(昭和53)7月の全抑協創立で、分裂前の素朴ではあれ初々しい希望に満ちた日のことである。抑留者の不満はマグマのように噴出して、古くは長谷川宇一大佐の「長帰同」を手始めに全国的なうねりとなり、1974.3.10. 九州伊万里の人 前田明広の提唱のもと “「シベリア抑留」に補償を!” の訴えは佐賀、福岡、長崎・・・九州に広がり、1977には東京、神奈川、千葉へと、そして翌年 東京に全抑協の成立を見たのである。(初代会長 大塚道夫) その掲げる目的も 戦時捕虜の補償要求、強制労働の賃金要求 であり、今と全く変わることはない、変わったと言えばわれわれが老い、激減したことぐらいである。
この25年の間やったことが駄目なら もう一度この日に戻って出直せば良いのである。男子が一旦やりだして失敗したとは言え恥じることはない、相手が悪すぎるのだ。元の鞘へ戻るのではない、スタートの辻へ帰るだけ、経験を生かしてもう一度やってみよう。 今度はお互い気の合うことだけをやる、嫌なことはやる必要はない。但しやるからには心を一つに総力挙げて・・・・。
「シベリア立法推進会議」がその拠り所、何会でも何派でも誰であれ、やる気のあるもの寄って来い の勝手連、補償法案を勝ち取るための新しいスタート台である。少数の人々の粘り強い努力が実り、いまようやく「長妻法案」が国会へ出されようとしている。この老獪な国からカネを受け取るには裁判に勝つか補償法案を通すかの外に道はないが、その法案が目の前にある。
補償要求は抑留者の共通した宿願であり、運動の原点である。我々は残された最後のチャンスを大同団結で締め括りたい。
8月23日を「シベリア抑留」の日に制定しよう 2003.5.14.
1945年のこの日、スターリンの命令一下 我が民族はじまって以来の屈辱が始まりました。この未曾有の悲劇をバビロン虜囚の再来と言う人もあります。 漸く砲火も収まった戦後において60万の兵士が2年乃至10余年の長きに渉って奴隷に等しい辛酸を舐め、6万余の犠牲を見た「シベリア抑留」の始まりです。 我々日本人は日ロ恒久平和の礎として、赦すとしてもこの非道を決して忘れてはならないのであります。この日を国と国民の身代わりとなった兵士の労苦を偲び、二度と繰り返されないことを誓う日として国民の記念日に制定することを願うものであります。
A,提唱の理由 1) あくまで「日ロ恒久平和と友好」のためが眼目です。 2) ロシアはゴルバチョフ、エリツィンが謝罪し、遅まきながらも労働証明書を発行し、最低限の国際法義務を履行したことから、法的に咎められる筋合いはありません。(人道上、道義上の責任は別) 3) とは言え、我国の国民感情が好転したわけではなく、ロシアへの不信と憎しみは依然根深いものがあります。 4) 原因は領土と抑留であり、この二つが喉もとのトゲのように友好を阻害していることは大方の認める所です。 5) 「シベリア抑留」の日制定は実にこの解消のためのものであります。
B,方法その1 (日本に対して) 1) 「シベリア抑留」が北朝鮮どころではない大規模な拉致事件であった事実を広く国民に知らしめ、その対応を考えるためにも「抑留の日」の制定は必要で、「シベリア支援法」をつくる力も無い国は、せめてこれぐらいの事はやる責任があります。 2) 60万兵士の労苦と6万余の犠牲をロシアに認めさせ、スターリンの犯した人道的犯罪を強く指摘して領土問題を有利に展開するためにも制定は急がねばなりません。 3) そのために政府は捕虜の労働に対しての賃金を早急に支給すべきです。 4) 何故ならソ連が得た抑留の莫大な労働利益を提供したのは日本兵捕虜であり、日本国は一銭もソンをしていない現状では その主張や発言に迫力がありません。自らも傷を負い、その痛みあってこそ相手も譲ろうと言うもの、「シベリア抑留」はロシアのただ一つのアキレス腱であります。
C,方法その2、 (ロシアに対して) 1) 法的に未払い賃金の支払い責任はロシアにない と言うのが当方の見解です。 2) ロシアとの末永い友好はネックである「シベリア抑留」の後始末を解消してこそ可能です。そのため日本政府に支払をさせるよう積極的な協力を期待します。 3) ロシアが発行した労働証明書は不渡りです。これは出したロシア国の不名誉であり責任であるのに、何ら処置がなされないのは受取人への信義に悖ります。日本政府に厳重抗議の上、即刻落札するよう督促されたい。 4) これら賃金の支払いは日ソ共同宣言により所属国日本の責任であるに拘わらず未だに履行されず、そのうえ現職の大臣が支払を否定し、その責任は抑留国のソ連である と言っています。これに対し貴国は正しい見解を表明されるべきでありましょう。 5) この問題は日本国の違反に止まらず、結局は双方連帯の責任として1949ジュネーブ条約第6条の強行規範に抵触します。貴国におかれても積極的解決の義務を免れない所であります。
D,その運動 1) 世間は絶えず新しい話題を求め、更に新しい話題が世論を作ります。 2) ロシア大使館は永田町から約2キロ、舞台として申し分ありません。 3) 千鳥が淵もポイント。「戦没者追悼を正す全国連絡会」等の共催が可能。 4) シベリア遺族の公務扶助料完全支給運動をも含めた呼びかけも視野に。
本件は出来る、出来ないを問わず 提唱することに意義と効果があると思われますので、どうか皆さんでご検討下さい。
「近畿の会」の不始末について 2003.6.15.
韓国兵裁判を支援するための外務大臣宛要請行動を拒否した「近畿の会」の不始末は愚かでも鈍でもありません。これは利口気に振舞ったつもりの立派な反動です。
昨年7月この会が「近畿地区シベリア抑留者未払い賃金要求の会」という長くてユニークな名で発足し、その後を注目されたのですが、一年を経ずしてこの体たらくはいかにも残念です。すべてはリーダーの器量によるもので、組織の怖さと脆さをまざまざと見せられました。衆望を担って初代代表に就任した緋田吉郎君はなかなかの人物で、しっかりした理念と強い求心力で推し進める執行は目を見張るものがありました。特にカマキリに対しての理解と協力は頼もしく、私も及ばずながら帷幕に参加して運営を手伝いました。好事魔多し、いよいよこれからという12月、無情にも病魔はかけがえのないリーダーを奪い去ったのでありました。
韓国兵の同志である李 炳柱君たちの補償要求訴訟を支援するため、外務大臣あてに要請書を出そうという運動に、この会が嫌だといって拒否したことを知ったのは11日で、幸い13日、大阪での李君激励会に私も病院を抜け出して参加し、帰路Tを捉えて厳しく批判いたしました。彼はその日のスピーチで李君たち朔風会の裁判を快挙であると称えたのです。この右手で握手をしながら左手で頬をぶん殴るような欺瞞が、私には我慢ができなかったからです。 彼らのノーの理由はほぼ以下であろうと思われます。 1、 韓国兵のために何故そこまでやる必要があるのか 2、 補償立法化を進める大事なときに、政府に悪感情を持たれる行動は不利 3、、これをやれば署名グループは不利益を受けるだろうが、自分の会は免れたい 4、 敵味方感覚の鈍さと、それぞれの立場への驚くべき幼児性とエゴ。
これらは立派な反動ですが、もう素直に耳を貸す歳ではありません。一事が万事で以後も違和は続きましょうし、お付き合いには期待も自信もありません。そのうえ顧問の席もずっとお呼びでなく、またいくら咎めてもこの方々に付ける薬はありません。しかし貴方が7項目の査問状を出された以上けじめが必要となりましょう。私は本部事務局として以下を厳しく申し入れていただきたいと思います。
1、 自分が責任代表を務める推進会議の指示を、自分が代表する団体に拒否させて反対行動をとるとは自殺行為か人格分裂であり、この際どちらかを辞任するのが筋、それなら推進会議の方に辞表を書くべき、ただし辞表は一応世話人会で預かり、ある期間代表執行権を停止する。 2、 以後は司令塔の指示に従うこと。 3、 不向きなアタマの仕事には以後立ち入らず、専ら運動の手足としての使命に徹すること。 4、 意見あればプロジェクトチーム(推進会議)の世話人である地元の石元、池田に申し出ること。
石元事務局長の統率責任も咎められるところでしょうが、これは穏便に・・・・無類の組織力、懐の広さ、人を傷つけることを嫌うこの人の気性が今回はマイナスに出ました。面と向かってノーと言えない、勿論イエスとも言わない悪い癖です。そういう場合のこの人はノーなのですが、それを慮らずに執行したのはT代表の不明です。 以上滅多にお呼びの掛からないこの会の顧問の意見です。
16 2003.7.25 ご挨拶 れぽーとが約3ヶ月途絶えてしまいました。 私、既報の通り大腸疾患手術のため3月末に入院、一旦は退院できたのですが、運悪くMRSA(院内感染菌)による腹腔膿瘍に取り付かれ、再度切開手術を施すなど苦戦いたしましたが、昨日4ヶ月ぶりに退院いたしました。暫くは通院が続きますが、これでやっと戦列に帰れます。 このたびは皆さまの温かい励ましとお見舞いで、余命を与えられました。心からお礼申し上げます。 さて 5月以後のご報告は次の通りです。 1、第二次国会座り込み行動・・・・・5月29日、東京 資料1をご覧ください。地方までには響いていませんが、お膝元の東京では大きな出来事で、参加者の熱意とマスコミの報道は国会に強いインパクトを与え、もう一刻も放置できない と言う気運が永田町に高まりました。それらを添付の新聞記事からお汲み取り下さい。 2、「シベリア立法推進会議」の発足 斉藤派だ、相沢派だ と、争っている時ではない、シベリアで苦労した者は誰でも立ち上がろう、原点に帰って力を合わせ 補償を勝ち取ろう・・・。と呼び掛けています。カマキリも呼び掛け人として当初から参画し、手術後の私は医師の許可を貰って上京し参加いたしました。(資料2) 3、7月16日の朝日新聞報道 懇意にしている伊藤記者が立派な全国版記事を出してくれました。(資料3) 判りやすく好意に溢れた報道の効果は大きく、前途に光明を感じます。 A,中央の情報に遠い仲間たちに運動の存在と明るい希望を伝えてくれた。 B,“シベリア老兵の訴えはもっともだ” の正しさが社会全般に広がり、国民の心に同情と理解を植え込んだ。 C,眠っている人々に訴え、共同戦線構築への呼び水効果。 4、民主党法案は秋の臨時国会の冒頭に上程の予定です。 吉報なのですが、財政事情から内容がかなり後退しています。同じ拉致被害者でも北朝鮮や拿捕漁船、漁夫に比べ、シベリアはどうして値打ちが低いのか?いま補償額の復元とその調整に関係者は奔走しています。 5、自民、公明議員への工作 法案が出ても野党だけでは数が足らない、(不足票概算 衆院で60、参院で25)これは野党だから賛成、与党だから反対という問題ではなく、人間として、日本人としての問題であるのに、自民、公明は良い顔をしてくれない。東京では6月以来必死のロビー活動を続けています。大阪でも8月は里帰りの地元議員に総当りのアプローチを行い、採決を依頼する予定です。 6、年内総選挙で吹き飛ばされない法案対策 この心配は次号のテーマになるでしょう。 この一年、急速に盛り上がった「シベリア問題」はカマキリ裁判にもきっと良い結果を齎すでしょう。裁判官も人の子の筈、どうか最後の運動の希望を捨てず、裁判と立法採決に力をお貸し下さい。 いよいよ炎暑の訪れですがどうか皆さまお元気で・・・・・
拝啓公明党様 「シベリア抑留」問題解決のための要望 2003.8.16.
1、はじめに 公明党議員和泉照雄先生は、僚友 瀬野栄次郎、塩出啓典先生と共に「シベリア抑留」を国会で取り上げ、国家的課題として追及された功績は抑留者として忘れてはならない恩人の一人であります。 昭和53年6月8日、参議院内閣委員会で和泉先生は “事実は57万幾らの人たちが強制労働をさせられ、その役務賠償みたいな利益をソ連が全部取っておるのはどう解釈すればよいのか” と厳しく質問され、当時の外務省欧亜局長宮沢 泰は次の通り答弁しています。“ソ連が大きな利益を得たのは事実でありましても、法的に我国として、これを賠償の一つの形態として認めることはないわけであります。” つまり、 「事実はそうであっても、法的には役務賠償ではない」 と。 これが「シベリア抑留」に対する我国の一貫した見解であります。 2、「役務賠償」と認めない理由 どのように厳しく問い詰められようが国が法的に認めないのは、認めるとサンフランシスコ条約第26条の最恵条項に抵触し、他の戦勝国に対してもソ連同様の賠償に応じる義務が生じるからであります。 3、未払い賃金を拒否する理由 労働に対する賃金として捕虜に支払えば 「シベリア抑留」は「事実上」のみに止まらず、「法的」にも役務賠償が成立してしまいます。それゆえ国は金輪際未払い賃金としては支払えないのであります。 4、国際法上の責任を回避するための「抑留者」 新聞や社会では「シベリア捕虜」ですが、国の呼び方は「戦後強制抑留者」です。従って国際法による捕虜の賃金とか、その支払い云々は国の受け入れられない所であって,なるべく避けて通りたい。 これが国の本音ではないでしょうか。 5、「シベリア抑留」は大規模な拉致被害 “「役務賠償」でないのなら、あの苦役は一体何であったのでしょうか?” 「シベリア抑留」はスターリンの不法による大量拉致被害に他なりません。 連によって拉致、抑留された被害者等の支援に関する法律案」 を与党主導で立法して下さい 我々は数が多いので北朝鮮の人々より条件が低くとも目を瞑りましょう。その基礎は抑留一日当たり3千円では如何でしょうか、これは昭和51年1月10日に制定を見た「北方領土周辺拿捕抑留漁船員補償法」の船員に対する特別給付金と同額です。 * 北朝鮮拉致被害者の方々はシベリアと違って、国と国民の身代りとして苦役に服されたわけではありません。また漁業の方々は我々と違って、自己の意思で営利のための出漁でありました。私たちは国によって送られた任地で拉致されたのです。 7、法施行に要する費用見積 概算1兆円ですが、厳しい経済状況を踏まえまして半分の5千億円程度に圧縮は可能と思われます。 また軍恩受給者との調整ができれば2千億強ですべてが解決の見込みです。 それら軍人恩給受給者とのバランス案は自由民主党野中広務議員にも提案済ですので、お聞き取りの上ご採用賜れば幸いです。 8、 < 試算 > * 総帰還者472,934人×生存率60%で試算
*抑留月は引揚げ資料による平均月数 * 歩べり10%を差し引くと 9,970億 9、命あるうちに「シベリア抑留」の解決を 我々は未払い賃金を旗印に請願採択を求めてまいりましたが,誠意をつくしての措置であれば代わる方法を拒むものではありません。纏まる話を纏める力をお持ちの貴党に提案するのは結党以来の脈々たる人間尊重、道理重視の正義感、弱者に立った視点を支持し、期待するが故であります。我々の命あるうちに貴党のイニシャティブで見事に「シベリア抑留問題」を解決して頂けますよう願うものであります。 何卒ご検討の上、補償立法にお取り組み下さいますよう切に要望申しあげます。 続 拝啓公明党様 国際法論争における国の理論破綻について
1、初めに “・・・・賃金は未払いであると、私もそうだと思います。それから補償する相手はソ連政府なんですね・・・・” これは平成15年3月27日、参議院厚生労働委員会における阪口 力厚生労働大臣の答弁ですが、未払い賃金の支払い義務はソ連、即ち抑留国であることを明確に述べておられます。
2、支払義務者は抑留国か、所属国か 「シベリア抑留」問題は一見難しそうに見えますが実は簡単で、未払い賃金を一体誰が払うのかをハッキリすればそれで終わりです。ソ連か、日本かを正せば解決することで、大臣は “ソ連、即ち抑留国である。” と明言されました。果たしてそうでしょうか?
3、世界の国々は所属国の責任と決めています。 サンフランシスコ条約や日ソ共同宣言など講和の取り決めで、各国は平和回復に代えて国と国民の請求権を相互に放棄し、従って捕虜の未払い賃金は所属する母国で払うことになり、それぞれ実施しています。我国でも南方から帰ってきた捕虜は母国たる日本から労賃を受け取っていますし、戦勝国、戦敗国を問わず賃金またはそれに代わる補償を母国である所属国が払っていることは周知の事実です。
4、最高裁のシベリア判決は正しかったか シベリア裁判では “個人請求権まで放棄した覚えはなく、従って所属国の責任ではない”とした国側主張を日本司法は認めましたが、今年のカリフォルニァ法廷は全く正反対の判決で、元アメリカ捕虜たちの訴えを退けています。即ち “平和条約での相互放棄により、個人請求権は放棄されたから、抑留国日本は支払の義務を免れ、賃金の支払い責任は所属国のアメリカである。” と言うのです。 この二重基準は平成13年10月11日、東京高裁における元オランダ捕虜に対しても同様趣旨で原告の請求を棄却しています。シベリアを裁いた最高裁の権威はそんなに軽いものなのでしょうか。
5、発言の根拠は? “シベリアの支払責任は抑留国、アメリカでは所属国” 大臣のこのような発言は世間で言う二枚舌に聞こえますが、大臣、どちらが正しいのでしょうか?抑留国であるなら、その法的根拠を明らかにされる責任があります。
6、アメリカは新しい補償法案を作った “これはソ連の責任だ” の証明は簡単ではありません、至難の業であります。なにしろ文明国のどこでも所属国で、抑留国責任論は日本の、それもシベリアだけに言う主張だからです。アメリカは裁判の結果、自国捕虜の個人請求権を放棄した責任上、新しく補償金1万ドルを支給する法案を作り、この7月17日上院を通過させています。
7、大臣のもう一つの発言 “本当はソ連がやらなきゃならないことを どうこう言うのは私は筋違いだと思っています。” とも発言されていますが、その通り、莫大な利益を得たソ連が払うのは当然です。しかし、その当然を日ソ共同宣言で放棄したのは誰でしたか、これが本件の核心です。アメリカが何故新しく補償法案を作ったかを よく考えて頂きたいと思います。
8、もう一つの失言 大臣の “抑留者の問題は一応の決着を見ている” とは いつ、どのように決着されたのでしょうか、私はまだ一銭も未払い賃金を手にした覚えがありません。抑留者不在の決着とはどういうことなのか、これも併せご説明下さい。
9、捕虜の権利 “いかなる特別協定も、この条約で定める捕虜の地位に不利な影響を及ぼし、またはこの条約で捕虜に与える権利を制限するものであってはならない。” これは1949年ジュネーブ条約第6条であります。捕虜の権利である未払い賃金を払わないいかなる決着も、この国際法のユスコーゲンス(強行規範)に抵触いたします。 ついでに第7条(権利放棄の禁止)の捕虜の義務もご参考に・・・・
10、むすび 其の他、アメリカ裁判の帰趨や有事三法以後 焦眉の急とされる捕虜法案などで、「シベリア抑留」の不条理と未解決は放置できない問題で、なおかつ国の理論破綻と矛盾はのっぴきならない段階ではないでしょうか。国はいつまでも勝ち味のない国際法グランドでのゲームを打ち切り、国内法での纏め易い落とし処の設定に目を向けられるよう 願う次第であります。 |
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